無 電 源 L E D ( L D ) 検 波・中 波 帯 ラ ジ オ
CQ hamradio別冊 QEX Japan No.15   2015年5月19日発売 掲載記事と連動しています。

・白・レーザー・ダイオード なないろLED( LD )検波ラジオ

検波するためのデバイスとして、昔ながらの方鉛鉱などの鉱石系とゲルマニウム・ダイオードやシリコン・ダイオードがあります。
今回は発光ダイオード( LED )とレーザー・ダイオードを使ってみました。
赤、緑、青、黄、白、紫、赤色レーザー・ダイオードとゲルマニウム・ダイオードを切り替えて使用出来ます。
普段はMOSFETまたはゲルマニウム検波で、ホットスポットではバー・アンテナだけでLED検波が体験出来ます。
ホットスポット以外の場所ではゲルマニウム・ラジオとしても好結果が得られると思います。
屋外に張ったアンテナに結合させると、更に高感度になります。

ところで、LED、検波のキーワードで検索すると、LEDを検波デバイスとして使うにはバイアス電源が必要、
光をあててLEDの発電作用でバイアスを与えれば使える、光が無いと検波しないので昼間限定と言う様な記載がヒットします。
しかし、強電界のホットスポットではバイアス電源も不要、昼間でも暗闇でも光は不要で問題なく検波もでき、綺麗な音声が得られます。
しかも、発光します。
到来電波さえ強ければLEDは点灯しますから、HF帯のダイポール・アンテナを設置している方は試してみてください。
注:2015年4月4日に埼玉県川口市にある文化放送の送信所に出掛けて来ました。 
1134kHz/100kWの出力はさすがに強力で、300mほど離れたバス停でもLEDが点灯し音量もうるさいくらいでした。

ゲルマニウム・ダイオードの順方向電圧は0.3V程度ですが、LEDは色によって違い1.8 - 3.5V程度です。
その為、従来のゲルマニウム・ラジオと同じ考え方ではうまく点灯させる事が出来ません。
一概にホットスポットと言っても、強力な場所もあればそうでもない場所もあります。
是非とも、LED検波が出来る場所を歩いて探してほしいですね。

●LED検波ラジオ製作の勘所

 ゲルマニウム・ラジオの基本回路で良く見かけるバー・アンテナの1次コイルだけでは、検波後にセラミック・イヤホンを接続するだけで
 コイルの性能( Q値 )が低下して、選局時の分離性能に影響します。 
 セラミック・イヤホンと比較してLEDに流れる電流は大きく、送信所が目の前にあれば問題にならないがほとんどの場合で
 1次コイルだけでは役に立たないので2次コイルを設ける。
 2次コイルは通常のゲルマニウム・ラジオよりも多めに巻きましょう。
 ゲルマニウムの順方向電圧が0.3V程度に対しLEDでは色種により1.8 - 3.5V程度あるので、多めに巻いて検波後の出力電圧を稼ぎます。
    LEDに流れる電流はカタログ等で推奨する5 - 10mAと言う様な値でなく、超高輝度タイプのLEDでは100μA程度でも点灯します。
 ここでLEDが点灯するとは、検波も良好に出来る状態を言います。
 また、ダイオードの検波後の負荷抵抗とイヤホン側を個別にトランスのタップ切り替えが出来る様にするのが良いと思います。
 確実に点灯させるには、できるだけ大きな同調コイルを使う。 例えば、ループ・アンテナ、大きなコアを使用したバー・アンテナ等です。
 並四コイル等は、よほど強電界の場所でないと使えません。

元祖! な な い ろ L E D 検 波 ラ ジ オ

これでもか!  ゲルマニウム・ダイオード / LED / レーザー・ダイオード え〜い、MOSFETも追加だ!
LED-6個 レーザー・ダイオード1個 ゲルマニウム・ダイオード MOSFET 合計9個の検波デバイス!


前面LED基板には、赤 青 緑 黄 白 紫 赤色レーザー・ダイオードを配置
トランス基板にMOSFET / ALD110900PALとロシア製ゲルマニウム・ダイオード D311を搭載
基板上のスイッチでMOSFETとダイオード群を切り替え、ロータリーSWでLEDの色を選択


ロータリーSW-A    1回路8接点
ロータリーSW-B  1回路6接点
ロータリーSW-C  1回路11接点
SW-1A/SW-1B  2回路2接点トグル・スイッチ

全体の回路図
マルチタップ・トランスの配線について:LED検波後の負荷抵抗切り替えと、音声出力側の切り替えを個別に出来る様にしています。
ロータリーSW-BとロータリーSW-Cの10kΩ - 100kΩのタップは並列接続にしてあります。 
これにより、微妙な設定が出来ます。
ロータリーSWの配線が面倒と感じる場合はロータリーSW-Bを省いて、検波出力を20kΩタップに接続してください。
MOSFET( ALD110900PAL )は検波するだけなので、電源ピンは使用しません。

備考:MOSFETによる検波を省いてゲルマニウム・ダイオードとLEDだけにする場合は、MOSFET部分の配線を全て省略してください。
   それに伴い、SW1-AとSW1-Bは無くなります。
           また、LEDは好みの色、数量に合わせて各自でアレンジしてください。

   ロータリー・スイッチは1回路6接点と1回路12接点を2個使用。 接点数は付属のスペーサーで6接点以内、12接点以内に設定出来ます。

●バー・アンテナの作り方
外径:34mm  ( 内径:28mm ) 長さ185mmのパイプに180 X 10mmフェライト・ロッドを5本入れました。
フェライトが抜けない様に、片側を接着剤で固定してあります。

もっと大きなバー・アンテナが必要なら、ノイズ吸収コアをたくさん並べると良いです。
ただし、どれでも使えると言う訳ではなくいろんなタイプを試してみないと分かりません。
チャレンジ精神旺盛な方は、是非トライしてみて下さい!


180 X 10mmフェライト・ロッドを5本使用した強力型バー・アンテナ部品セット
※この画像の白い棒は、セット内容と異なります。 内容物は、径:8mm 長さ:180mmの棒です。
 この画像以外に、完成後リッツ線を保護する為の補強テープが50cm付属します。

1次コイル用 0.06mm 360本リッツ線を使用
1次:端から30mm離して線幅92mm    約350μH  
2次:1次側の横に0.04 X 100本 33mm幅に巻く

1次側コイルを巻く前の準備・・・最初にテープを切ります。


50mm幅 長さ:50cmを7つに切ります。
長さ:15cmを2枚    長さ:1cm幅5cmを2枚  1cm幅15cmを2枚  残りは予備

パイプ端から30mm離して太いリッツ線を1cm幅15cmのテープで固定します。
注:リッツ線は20cmほど余裕を持って巻きます。

線幅92mmになるまで巻きます。 巻き終えたら、セロテープで端を仮留め
これで約350μHが得られます。
巻き終えた部分を1cm幅5cmテープで固定します。

2次側は20cmほど余裕を持って、1cm幅5cmテープで固定してから巻きます。

リッツ線の半田付け処理
 この作業は部品の位置決めをして必要な長さから少し余裕を持たせた長さに切り取ります。
 半田付け処理はその後からにします。
 リッツ線は少し長めに入れてあります。 半田のコツを掴むまで、何回か練習するのが早道です。
 何事も1回でうまく出来ると思ってはいけません。

段ボールを用意します。  15 X 15cm程度必要です。 段ボールの上で作業をします。
半田ごてを最低でも5分以上通電してから半田付け作業をしてください。
太いリッツ線は、容量の大きな半田ごて( 60W )が理想です。
30W程度では十分に加熱してから試してください。
何度か練習してもうまく仕上がらない場合は、半田ごての容量不足が考えられます。
大きめの半田ごてで一気に作業する方が綺麗に仕上がります。
注意事項:半田付け作業の終わった段ボールは、燃えない様に気を付けてください。


半田付けの例
そのまま半田付けすると、下側の様に拡がってしまいます。
まとまり良く半田付けするには・・・


ビニール線の切れ端を数cm用意します。



リード線を1本リッツ線に巻き付けてから半田付けします。



60 - 100Wの半田ごてで一気に半田を流します。  綺麗に仕上がります。

細いリッツ線はそのまま半田付けしてもうまく出来ると思います。

コイルが完成したら、パイプにフェライト・ロッドと白丸棒を入れます。
両側をエポキシ系接着剤で固定します。



パイプにフェライト・ロッドを入れた画像   
がたつかない様に、中心に丸棒を入れています。

さて、ここで興味ある課題です。

下に掲載した完成画像A と B   1次コイルの処理方法の違い・・
Aは巻き始め方向に戻して、テープで補強
Bは巻き終わった近くでテープで補強

どちらが正解か?    性能が良いのは?


完成画像 A



完成画像   B

巻き終わりの線の処理方法による性能の違いを実測してみました。
処理方法の違いだけで、フェライト素材とリッツ線は同一の物です。


500kHz
800kHz 1.0MHz
1.2MHz
1.4MHz
1.6MHz
画像A
353μH
Q572
369μH
Q278
385μH
Q204
406μH
Q164
435μH
Q130
474μH
Q96
画像 B
349μH
Q667
355μH
Q334
361μH
Q260
368μH
Q218
378μH
Q183
389μH
Q153
線を沿わせるか沿わせないかで、これだけの変化があります。

正解は、Bです。

● マルチタップ・トランスとMOSFET切り替えスイッチが載る基板の作成
     
     マルチタップ・トランスの端子説明と 取り付ける際の注意事項です。




1 - 2ピン間の直流抵抗は約2Ωです。  裏側とはピン側から見てと言う意味です。
蛇の目基板に取り付ける場合は、基板の穴を1.5 - 2.0mmに拡げる方が無難です。

  

トランスのリード線処理    抵抗等のリード線で半田付け端子を作ります。 
リードを通し終わった後で、太めの針金を通してリードを引っ張ります。
好みにより、直接リード線をトランスに半田付けしてもOKです。



トランスとMOSFETが載る蛇の目基板  完成した画像



蛇の目基板のレイアウト  タカチ電機 TNF53-79  基板上から見たレイアウトです。
各自で基板を選んで、レイアウトを考えてください。

●LED取り付け基板
蛇の目基板を利用するか各社からいろんな基板が販売されていますから、好みの基板を選んでください。



裏側のパターンは薄くて見づらいので注意!
一番外側のパターンが共通( コモン )になります。
テスターで1つ1つ確認して半田付けしてください。
備考:アノードとカソードの極性をばらばらに半田付けしても動作します。
   回路図を参照してください。


  
ここでは表面の塗装をペーパーで削り落とし、赤スプレーで着色してあります。
これは好みなので、ご自由に。


  
使いづらいリード形状と、基板に取り付けた例

使用するLEDは、好みのメーカーの大きさ、色合いを自由に選んでください。
高輝度、超高輝度の区別無く使えます。 
ただし、基板に取り付ける際にLEDの足下が広くなっている物は避けた方が良いです。
全体の高さが揃わなくてもOKなら、どんな物でも構いません。
着色タイプよりも、透明ケースで何色が点灯するかな?と誰かに説明する時は面白いかも。


半田付けして完成  色別のビニール線で配線します。



●前面パネルに各部品を取り付けます。
 ロータリー・スイッチのシャフトが長い場合は、切り取ります。



●前面パネルを裏側から見て



●前面パネル  LED基板の取り付け



●前面パネル  ポリ・バリコンの取り付け
 L型金具との距離が無くぶつかってしまうので、スペーサーで浮かせています。



● 裏面から見た LED切り換えスイッチの配線
     配線コードは色別にしないと混乱します。



● 基板を取り付けた後に、LED切り換えスイッチの8番目にゲルマニウム・ダイオードを半田付け



● 裏面から見た LED負荷インピーダンス切り換えスイッチの配線



● 裏面から見た オーディオのインピーダンス切り換えスイッチの配線



● 全ての配線が終わり、完成!

●完成後の性能は
基板上のスイッチをMOSFET検波にするかダイオード切り替えスイッチをゲルマニウムに設定すると、ホットスポット以外の
場所でも良好に受信出来ると思います。
ホットスポットではLEDが点灯、ラジオが良好に聞こえる状態です。
LEDが点灯する目安は、セラミック・イヤホンでうるさいくらいに聞こえれば可能性は大いにあります。
LED検波はきれいに発光した状態がベストですが、色によりクセが出て来ます。
赤、赤色レーザー・ダイオードは素直な音質で聞く事が出来ます。
順方向電圧と、検波出力電圧の兼ね合いでかなり状態が変わって来ます。
このあたりのクセがLED検波ラジオの個性と言えるのでは無いでしょうか?
また、ここで紹介した同じ回路、同じ部品を使用したラジオをホットスポットで使用すると、とても
面白い現象が体験出来ると思います。 セラミック・イヤホンを使用するのがコツです。
それがどんな現象なのかは、皆さんが近くのホットスポットを探して試してください。


このラジオは、最近巷で話題になっているワイヤレス電力伝送装置と言えなくもありません。

例えば、展示会などで見られるワイヤレス電力伝送の簡単なデモを見かけます。



送信部  DC5V電源が必要



USBで動作する扇風機を改造しました。
受信部を扇風機底面に取り付けて、送信コイルと結合させると廻ります。
1cmくらい離しても廻ります。 DC5V 0.6A程度流れます。

LED検波ラジオは1cmより遥かに離れた40kmから出ているNHK第二放送の電波を受信して、
無電源でLEDやレーザー・ダイオードが発光します。
これは凄い事だと思いませんか?

記 事 で 使 用 し た 部 品 類 の 用 意 が あ り ま す 。
組 み 立 て 作 業 は し て い ま せ ん 。
組み立てに関する説明書はありません。
このページの情報が全てです。
半 田 ご て、工 具 等 を 用 意 し て 製 作 し て く だ さ い 。

ここに記載しているバー・アンテナ製作部品セットはLED検波ラジオで使用した物と同じです。
製作方法も同じです。

●バー・アンテナ 製作部品セット ¥6,200 送料¥600  10セット限定で用意していま す。
180 X 10mm フェライト・ロッド  5本 
加工済みパイプ( 185mm  取り付け台付き) 
リッツ線 0.06mm 360本  6m  
リッツ線 0.04mm 100本  5m 
リッツ線保護用補強テープ 50cm 
がたつき防止丸棒  18cm 

●主要部品セット ¥6,200   送料¥510( バー・アンテナと同時購入の場合は送料不要 ) 10セット限定で用意しています。
 MOSFET( ALD110900PAL ) 8ピン・ソケット付き 
 マルチタップ・トランス 8Ω - 100kΩ 
 蛇の目基板 タカチ電機 TNF53-69 
 基板用6Pスイッチ 
 ロータリー・スイッチ 1回路12接点 2個 
 ロータリー・スイッチ 1回路6接点 1個  
 260PFポリ・バリコン( 延長シャフト・つまみ・取り付けネジ ) 
 LED取り付け用基板 
 LED6色 + レーザー・ダイオード + ゲルマニウム・ダイオード 
 アルミ・パネル( 穴開け加工はしてありません ) 200 X 50 X 2mm 
    パネル取り付け用L型金具 2個 
 木製台( 穴開け加工は楽です )
 イヤホン・ジャック 
 2200PF コンデンサ 

 配線材料、スペーサー、ネジ類は各自で揃えてください。

●バー・アンテナ + 主要部品の組み合わせ ¥11,500 送料¥600
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ホット・スポットでは使わない!      ゲルマニウム・ラジオだけで使いたい!
こんな方には、ゲルマニウム・ラジオ 部品セットもあります。

●高感度ゲルマニウム・ラジオ 部品セット
バー・アンテナ 製作部品セット ¥6,200 送料¥600  10セット限定で用意しています。
180 X 10mm フェライト・ロッド  5本 
加工済みパイプ( 185mm  取り付け台付き)
リッツ線 0.06mm 360本  6m
リッツ線 0.04mm 100本  5m
リッツ線保護用補強テープ 50cm
がたつき防止丸棒  18cm

●主要部品セット ¥3,400   送料¥510
 ロシア製ゲルマニウム・ダイオード D311
 マルチタップ・トランス 8Ω - 100kΩ 
 蛇の目基板 タカチ電機 TNF44-69 
 ロータリー・スイッチ 1回路12接点 1個 
 ロータリー・スイッチ 1回路6接点 1個  
 260PFポリ・バリコン( 延長シャフト・つまみ・取り付けネジ ) 
 アルミ・パネル( 穴開け加工はしてありません ) 200 X 50 X 1.5mm 
    パネル取り付け用L型金具 2個  
 木製台( 穴開け加工は楽です ) 
 イヤホン・ジャック 
    2200PF コンデンサ 

●高感度ゲルマニウム・ラジオ 部品セット
   主要部品セットの組み合わせ ¥9,400   送料¥600

●主要部品セット¥3,400で、自分のお気に入りケースで組み立てたい方は
 下記部品は不要になると思います。  
 主要部品セット Bタイプ ¥2,600
   高感度ゲルマニウム・ラジオ 部品セットと、Bセットの組み合わせ ¥8,600   送料¥600
 無し アルミ・パネル( 穴開け加工はしてありません ) 200 X 50 X 1.5mm 
 無し パネル取り付け用L型金具 2個   
 無し 木製台( 穴開け加工は楽です ) 

店頭で受け取る場合は、事前に日時を打ち合わせしてください。
いきなり来店されても、用意ができません。

お問い合わせは、メールのみでお願いします。

101-0021東京都千代田区外神田1-10-11東京ラジオデパート1F
     マイクロ・パワー研究所  info@mpl.jp



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