記事随時更新中 最終更新日:2021年9月27日
電波時計の信号(40kHz/60kHz) を 聞 こ う!
40kHz JJY受信機の製作記事の紹介です。 記事の元原稿です。
CQ hamradio誌別冊 QEX Japan誌 No.38 2021.2発売号に掲載されました。
40kHz JJY専用受信機の製作 その他
画像:1 今回製作した受信機で実際に受信し、受信確認証をもらいました。
受信日:2020年10月22日 確認証 Vol.2 No.222
その後、電波時計改造版受信機( 内部に発音回路を追加し、強制受信モードに改造 )で受信確認証 Vol.2 No.223が届きました。
実際に受信した様子を動画で撮っています。 ここをクリック → radio_jjy.html
報告書を送ってから3ヶ月ほど掛かって確認証が届きました。
内部構造は同じでも電波時計の外観だとどうなの? と議論があって遅れたのかな? と想像しています。
画像: 2 自作したJJY専用受信機
左:40kHz専用 右:Sメーター搭載40kHz/60kHz両対応
市販されている電波時計には信号音が聞ける機能はありません。
40kHz電波時計受信モジュールを利用した超簡単な受
信機を作りました。
簡単な工作なので、みなさん作って友達に自慢しましょう!
画像:3
は じ め に
標準電波を基に時刻修正を行う時計は40年以上前から利用されています。
今ではいろんなメーカーが特色有る長波、GPSを利用した電波時計を販売しています。
この記事は電波時計の時刻を修正する長波標準電波( 40kHz/60kHz )の信号を聞いてみようというものです。
この標準電波はJJYと言うコールサインでお馴染みですが、信号を聞くには40kHz/60kHzの長波帯をカバーしている通信型受信機やSDR受信機が必要です。
また、長波帯のアンテナも結構大がかりになるのではないかと思われる方も多いと思います。
そこで電波時計受信モジュールを使って、安価で簡単にJJY信号の音を聞くことができる受信機を製作してみました。
Sメーターも時刻表示部分も無い1秒毎のピー、ピー音と毎時二回のモールス音を聴く為だけの受信機です。
併せて電波時計が時刻補正が取れない場合に、横に置いて受信状況を補完するバー・アンテナも製作しました。
本機の主な特徴
●1秒毎のピー、ピー音と毎時二回のモールス符号を聴く為だけの受
信機です。
●受信した電波時計のタイムコード信号をオシロスコープで観測
できる端子付き!
※毎時15分と45分の40 - 48秒に呼出符号である J J Y
がモールスで2回送信されます。
●60kHz用、40kHz/60kHz両用のモジュールでも同様に製作出来ます。
●応用例として電波時計の周辺ノイズや到来する伝播状態のチェックができます。
画像:4 Microtelecom
社 PERSEUS受信機で40kHz-JJY信号を受信している画像
画像: 5 モジュールのタイムコード出力をオシロスコープで観測
もう少し高級なオシロスコープで観測する方が見やすいけれど・・・
左から3,4つ目の波形はパルス幅が少し短い 右側:1秒毎にパルスが出ている
製 作 し よ う !
電波時計受信モジュールを利用して2時間ほどで製作できるJJY受信機です。
筆者は都内在住なので東日本向けの40kHz版を使用しましたが、西日本向けの60kHzでも同様の考え方でOKです。
また、40kHz/60kHz両対応の受信モジュールでも問題なく使えます。
このモジュールを入手出来るかが一番の肝になりますが、液晶が見えなくなった故障品から取り外しても良いと思います。
受信機にするには、電波時計モジュールは常時動作させなくてはいけません。
今回のモジュールではH端子に相当し、端子をGNDに接続しないと受信状態になりません。
( 機種により、POやPONの端子名になっている事もあります。)
40kHz/60kHz両対応モジュールでは、40kHz/60kHz切り換え端子があります。
バー・アンテナは1本なので、同調用コンデンサを切り換える事で両方に対応しています。
多くの機種で端子がLレベルの時に40kHz 、Hレベルで60kHzにしている様です。
※市販の電波時計は電池を装着すると受信を開始します。 JJY信号を捕らえるか、捕捉に失敗したらモジュールの電源を切断する様になっています。
また、強制受信のスイッチにより再度受信動作になります。
ピー、ピーと1秒毎の音と毎時15分と45分に流れるJJYのコールサインを出すだけなので、発音回路に電子ブザーを使いました。
※圧電スピーカーは発音回路が無いので使えません。 簡単に済ますなら、迷わず電子ブザーを使いましょう。
モジュール出力(正論理)とLED,ブザー間にトランジスタ1石の駆動回路を入れています。
ブザーは3V動作でも結構大きな音がするので抵抗で動作電圧を下げるか、ブザーのケース穴をテープで塞ぐなりして音量を調整します。
欠点はブザーの発振周波数が約3kHzと高く、大きな音量では耳障りになる事です。
普段はLEDだけにして、点滅が規則正しい時にブザーをスイッチでONにするのが良いです。
本来は800Hz付近の正弦波回路を出力信号でON/OFFして聞きやすくしたいのですが、誰でも簡単にと言う観点から今回は電子ブザーで
代用しています。
電子ブザーを購入する際は消費電流を確認しましょう。 小さくて便利だなと思っていたら電流が多く流れて電池は直ぐに無くなります。
音量は意外に大きいので、直列に抵抗を入れて動作電圧を下げると良いと思います。
画像:6 電子ブザー 村田製作所 PKB24SPCH3601
●電子ブザーの一例 村田製作所 PKB24SPCH3601
■発振周波数:3.6kHz(電源DC12V時)
■直径:24.3mm
■厚さ:9mm
■定格音圧:90dB(電源DC12V時, 10cm)
■動作電圧:DC 3.0~15V
■消費電流:1.8mA/DC2V時 2.8mA/DC3V時
部 品 表
部 品 名
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メ ー カ ー・型 番 な ど
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購 入 先
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そ の 他
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電波時計モジュール
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JJY-3850-40k 40kHz版 または MJU823RCC 40kHz/60kHz両対応版 または電波時計から取り外した物
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aitendoなど
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ポリカーボネートケース
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117-M(PC) 94X64X22.6mm
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秋月電子通商
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両面スルーホールユニバーサル基板
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P-12979 ( 2X8cm )
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秋月電子通商 |
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電子ブザー
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村田製作所 PKB24SPCH3601 24mm
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秋月電子通商 |
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電池ボックス
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単4x2本 リード線・フタ・スイッチ付
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秋月電子通商 |
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ピン・ジャック
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色は各自の好みで選ぶ
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秋月電子通商など |
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3Pトグル・スイッチ
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サトーパーツ、ミヤマなど
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秋月電子通商など |
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単4電池
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2本 アルカリ仕様
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秋月電子通商など
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配線材料
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色は各自の好みで |
秋月電子通商など |
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ネジ・ラグ端子類
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2mm径用
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2SC1815など
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NPNタイプなら何でもOK 各自の好みで |
秋月電子通商など
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LED
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色と大きさは各自の好みで |
秋月電子通商など
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50kΩ半固定ボリューム
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東京コスモス電機 GF063P B503Kなど
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秋月電子通商など
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オシロスコープ
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出力波形を観測するのに1台あると便利です。
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表:1 使用した部品表
画像: 8 受信モジュール JJY3850-40k
画像:9 基板上の黒い部分に受信用ICが入っています。 左端上は40kHz水晶振動子
画像:10 ピン接続:裏側の印字部分に注目!
V・・+3V G・・GND P・・GND
に接続 H・・VCC/+3Vに接続しないと常時受信動作しません。
T・・出力 / 負論理 無印ピン・・出力 / 正論理
画像:11 基本回路図
原稿分はここまで
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誌面では動画の説明が出来ないので、記載しているURLにアクセスしてください。
説明文は重複している部分があります。
実際に製作した120 X
10mmフェライト5本のバー・アンテナを使用した動画を紹介します。
室内で受信テストしている動画 → → → ここをクリックしてください。 MP4形式 後半はモールス信号でJ J Y と2回アナウンスしています。
JJYモールス信号を聞くときにオシロスコープの画面を大きく見やすくした例 → → →
ここをクリックしてください。 MP4形式
動画を見ることで、周辺ノイズや電界強度の様子を把握するのに受信機の必要性が理解できるのでは無いかと思います。
2020年12月30日に完成したMODEL JJY-4060HEXA 60kHzを受信した動画 ここをクリックしてください。
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202 X 25 X 10mm
フェライトを使った同調式バー・アンテナを作る!
愛称:JJY如意棒40k-202
外径:35mm /
長さ:240mmの
パイプを使用
両端から60mmの位置に穴を開けて0.45mmUEW線を巻く コイル幅:120mm
周 波 数 / k H z
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インダクタンス / 空芯
mH / フェライト有り mH
|
Q 値 /
空芯 / フェライト有り
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40.0
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500.27μH /
7.994mH
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39.8 / 332
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60.0
|
500.04μH /
8.050 mH |
54.4 / 343
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NF回路設計ブロック ZM2376 LCRメーターでの実測値
120X10mmフェライト5本タイプよりもQ値が高く高性能!!
40kHzに同調しているか確認してからパイプ内に収納し両側にキャップを取り付けて完成!
その後、カプラーにも使える様にBNCコネクターを取り付けました。
●
バー・アンテナを少し大きい物に交換するには?
バー・アンテナ( 大きさ 50 X 7 X 厚さ3mm )が小さいので、少しでも感度が上がるのを期待して大きい物に交換します。
バー・アンテナを一回り大きくしますが、インダクタンスは同じにします。
まずは、40kHzで測定したインダクタンスとQ値の実測値 1.466mH Q値:101.4
kHz
|
mH
|
Q値
|
kHz
|
mH
|
Q値
|
35.0
|
1.464
|
92.6
|
50.0 |
1.472 |
115.5
|
36.0
|
1.465
|
94.4
|
51.0 |
1.473 |
116.6
|
37.0
|
1.465 |
96.2
|
52.0 |
1.474 |
117.7
|
38.0
|
1.465 |
98.0
|
53.0 |
1.474 |
118.7
|
39.0
|
1.466 |
99.7
|
54.0 |
1.475 |
119.7
|
40.0
|
1.466 |
101.4
|
55.0 |
1.476 |
120.6
|
41.0
|
1.467 |
103.1
|
56.0 |
1.476 |
121.5
|
42.0
|
1.467 |
104.6
|
57.0 |
1.477 |
122.4
|
43.0
|
1.468 |
106.2
|
58.0 |
1.478 |
123.2
|
44.0 |
1.469 |
107.7
|
59.0 |
1.479 |
124.0
|
45.0 |
1.469 |
109.1
|
60.0 |
1.479 |
124.7
|
46.0 |
1.470
|
110.5
|
61.0 |
1.480 |
125.4
|
47.0 |
1.470 |
111.8
|
62.0 |
1.481 |
126.1
|
48.0 |
1.471 |
113.1
|
63.0 |
1.482 |
126.7
|
49.0 |
1.471 |
114.3
|
64.0 |
1.483 |
127.4
|
NF回路設計ブロック ZM2376で測定